2025 年 10 月、水戸に新たな音楽祭が誕生します。その目指すべきビジョンの一つは「音楽と観光の融合」です。 この音楽祭にご参加いただく皆様には、水戸ならではの豊かな観光資源と、ここでしか体験できない魅力的な芸術イベントを同時にお楽しみいただけるよう、多彩なプログラムをお届けします。コンサートの合間には、偕楽園や弘道館など歴史ある観光地を巡り、また水戸の地元料理にも舌鼓を打ちながら、充実したひとときをお過ごしいただければと思います。偕楽園と眼下に広がる千波湖には、四季折々の美しい風景が広がり、観光客にとっては癒しの場所。弘道館では、江戸時代の文化に触れることができ、歴史を感じながらの散策が楽しめます。また、水戸名物の「納豆」や「常陸牛」などの地元グルメを堪能することもでき、音楽とともに地域の魅力を存分に味わえます。 この機会に、ぜひ水戸で音楽と観光による素晴らしい時間をお過ごしください。
水戸国際音楽祭 総合プロデューサー
富田敬子(Keiko Tomita)
長い歴史と豊かな音楽文化を誇るヨーロッパでは、年間を通じて各地で多彩な音楽祭が開催されています。ジャンルを問わず様々な音楽が街角から響き渡り、人々はそれぞれのスタイルで生の音楽に触れ、その感動を存分に楽しんでいます。世界中から集まる音楽愛好家たちは、地元の人々と交流を深めつつ、音楽と旅の喜びを味わっています。
こうした高揚感に満ちた音楽の祭典を、私たちの故郷である水戸を舞台に実現できないだろうか。暮らしを彩るまちづくりに少しでも貢献したいという思いから、水戸国際音楽祭の企画を温めてまいりました。
水戸は歴史と伝統を誇る地方都市であり、これまでも芸術の振興を核としたまちづくりが積極的に進められてきました。水戸芸術館や水戸市民会館では常に多くの芸術イベントが開催されています。また、偕楽園や弘道館といった歴史的遺産を守りながら、神輿、水戸太鼓、神楽などの伝統芸能の継承にも力を注いでいます。これらの芸術文化に親しむ土壌に加え、近隣には大洗や笠間といった多くの観光資源が点在し、訪れる人々に様々な体験を提供しています。水戸ほど国際的な芸術交流の拠点としての潜在力を備えた街は他にありません。
水戸国際音楽祭では、国内外で活躍する旬のアーティストを招へいし、地元アーティストとの交流やワークショップの開催など、広く市民が音楽に親しむ機会を創ってゆきます。特に、未来を担う子供たちや若年層に広く鑑賞機会を設けて、本物の芸術に触れてもらいたいと願っています。ジャンルを問わない多彩な音楽プログラムを提供し、地元の仲間たちと共に屋内外で多種多様なイベントを企画することで、世代を超えて誰もが楽しめる音楽祭を目指します。また、訪日観光客を含む国内外からの来訪者を歓迎し、インバウンド効果を促進することで、文化都市としての水戸の魅力を積極的に世界へ発信していきたいと考えています。
音楽の力が街に息吹を吹き込み、溢れる音楽に包まれた水戸が国際的な芸術交流の拠点として世界の耳目を集めるような祭典となるべく、皆様のご協力を賜りながら、ともに歩んでまいりたいと思います。どうぞご期待ください。
©Michel Nafziger
水戸国際音楽祭 総合ディレクター
中堀海都(Kaito Nakahori)
近年、地方都市における芸術文化と観光の融合が、地元との強固な連携を基盤に成功しています。例えば、豊岡演 劇祭や瀬戸内国際芸術祭は、それぞれ演劇や美術を通じて地域の独自性を活かし、訪れる人々に豊かな芸術体験を提供しています。芸術と観光の双方を同時に体験できるという特性は、地域の魅力を一層引き立て、相乗効果を生む力を秘めています。この水戸国際音楽祭も、水戸の様々な音楽と豊かな観光資源を融合させ、新たな文化の地平を切り開くことを目指しています。
現代日本は、人口減少や国際的な情勢変化といった多くの社会的課題に直面しています。そのような時代にあって、政治や歴史を越えて国際的な絆を深めるために、芸術文化交流の役割はますます重要となるでしょう。それは決して閉じたものではなく、世界に開かれ、進化し続けるべきものです。日本が誇る雅楽や能といった世界でも最古の芸術文化や欧州のクラシック音楽などを含めて、伝統を守りながら革新を進めるためには、深い相互理解と交流が欠かせません。
今年はプレ開催として短期間での実施となりますが、豊岡演劇祭や瀬戸内国際芸術祭との共同制作シアターオペラ「その星には音がないー時計仕掛けの宇宙ー」をメインイベントに据えつつ、その他、様々な音楽を織り交ぜたプログラムを企画しています。伝統音楽から最前線を走る新進的な音楽まで、幅広いジャンルを堪能していただくだけでなく、演劇や美術といった異なる芸術の要素も交えた、深みと多様性に満ちた音楽祭を目指していきます。これからこの音楽祭が多様なアーティストによる表現と交流を育む重要な場となることを、ディレクターとして心より願っています。
私もこれまで、世界中のさまざまな音楽祭にアーティストの立場で参加してきましたが、地域の人々と国内外から訪れる観客やアーティストが一体となって祝祭感を共有する瞬間ほど特別なものはありません。そして、水戸という街は、芸術と観光が息づく都市として、大きな可能性を秘めた魅力的な都市です。今秋、皆様と共に素晴らしい時間を水戸で過ごせることを、心から楽しみにしています。